相続税等の財産評価の適正化

取引相場のない株式の評価方法について、上場会社のグローバル連結経営の進展や株価の急激な変動が、中小企業の円滑な事業承継を阻害することがないように、中小企業等の実力を適切に反映した評価となるように見直されました。

 

(1)類似業種比準方式の見直し

 ①類似業種比準方式による株価算定のもととなる類似業種の上場会社の株価については、「課税時期の属する月の類似業種株価」「 課税時期の属する前月の類似業種株価」「課税時期の属する前々月の類似業種株価」「類似業種の前年平均株価」のうち最も低い金 額を選択することができます。今回の見直しでは、これらに「課税時期の属する月以前2年間の平均株価」が加えられました。

 ②類似業種の上場会社の「配当金額」「利益金額」「簿価純資産価額」について、連結決算を反映させたものになりました。

 ③比準要素である「配当」「利益」「簿価純資産」の比重が、これまでの「1:3:1」から「1:1:1」に見直されました。

(2)評価会社の規模区分の見直し

 評価会社の規模区分を判断する金額等の基準が見直されました。新たな基準では、対象となる従業員数や取引金額の基準などを変更 し、大会社と中会社の適用範囲が総じて拡大されました。

この見直しより、類似業種比準価額の計算上、以前よりも利益の比重が小さくなったため、成長・好成績の企業にとっては評価額は引き下がり、減税要因の一つとなりますが、同時に、役員退職給与や特別償却による一時的な株価引き下げの対策の効果も小さくなります。その一方で、社歴が長く過去の蓄積がある会社は、簿価純資産額が大きくなりがちであるため、評価額が高くなってしまう可能性があります。

平成29年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価から適用されます。